北海道岩見沢市の小児科 医療法人社団 あくつこどもクリニック

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子供の病気【知恵袋】

子供の病気【知恵袋】

目次:
  1.麻疹(はしか)
  2.水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹
  3.プール熱(咽頭結膜熱)
  4.RS(アールエス)ウイルス
  5.溶連菌感染症
  6.インフルエンザ


 
麻疹(はしか)
 
 
 
麻疹は、小児のウイルス性熱性発疹症の中では重症の疾患です。感染すると発症率が非常に高く、ほとんどの人が発症します。生後6ヶ月までは母体からの免疫(移行抗体)があるので発症せず、以降の乳幼児になると発症しやすくなります。ワクチン未接種者では、年齢に関係なく発症し、重症化することが多いようです。
最近は、麻疹ワクチンを小さいころ接種していなかったり、ワクチンをしたのに効果が弱くなってしまった大学生や高校生の間に流行しています。日本では、まだまだ毎年数千人もの患者さんが発症し、何十人も亡くなっている怖い病気です。

 
 
 
原因: 麻疹ウイルスです。咳や鼻汁により飛沫感染します。

 
潜伏期間: 10~12日くらいです。発症の1,2日前から発疹出現4,5日後くらいまでウイルスが排泄され、感染時期です。

 
症状: 3つの期間に分けられます。
 
1.カタル期 38~39度の発熱が3~4日間持続し、咳、鼻汁、めやに、結膜充血などの症状がみられます。途中で口の中にコプリック斑という斑点が出現し、診断の決め手となります。
2.発疹期 一時解熱傾向となった後に再び高熱となり(二峰性発熱)、この時期に小さな赤い斑状発疹が出現します。発疹は顔面から全身に広がり融合していきます。高熱は3~4日続きます。
3.回復期 次第に解熱し、全身状態も改善する時期です。発疹は茶色い色素沈着を残して消退していきます。

母親からの移行抗体が残っている乳児や麻疹ワクチン接種者では、発熱期間が短縮したり、コプリック斑が見られなかったり、発疹が出現しないこともあり(修飾麻疹)、診断に苦労することもあります。

 
合併症: 気管支炎・肺炎や中耳炎などの合併がよくみられます。また、1000~2000人に1人の割合で脳炎を起こすこともあり、亡くなったり、後遺症を残したりします。さらに、麻疹にかかってから、10年もたって神経系の合併症がみられることもあり、大変怖い病気です。

 
診断: 血液検査で麻疹に対する抗体反応をチェックしますが、迅速診断はできず、症状からの診断が重要です。

 
治療: 保温や安静、水分補給が大切です。抗生剤は基本的には効かず、細菌感染症の合併時に投与します。

 
予防: 麻疹ワクチンが大切です。現在は、(1).1歳~2歳前の1年間、(2).小学校入学前の1年間、(3).中学1年生、(4).高校3年生相当の年齢時の4期間に無料で麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種ができます。2回接種することにより、麻疹に対する免疫力を持続するシステムです。必ず、2回接種するようにしてください。この期間外のお子さんでも流行時には自費で麻疹単独ワクチンを接種し、時期がきてから公費で混合ワクチンを接種することもできます。(免疫力がさらに強くなります。)また、麻疹の患者さんに接触した場合は72時間以内にワクチン接種をすると発症予防効果があるといわれています。
なお、卵アレルギーが強い場合はワクチンで副反応が出ることもありえますので、事前にかかりつけ医に相談されたほうが安全です。

 
登園、登校: 学校保健法では解熱した後3日間まで隔離が必要とされています。

 


 
水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹
 
 
 
幼稚園や保育園など幼児の集団に患者さんが多く見られます。伝染力は麻疹についで強く、家族内発症は約90%です。母親からの移行抗体による感染防御は弱く、乳児早期でも発症することがあります。

 
 
 
原因: 水痘と帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスという同一のウイルスによる急性発疹性疾患で、初感染が水痘で、2回目の感染か体の中に潜んでいたウイルスの再活性化により帯状疱疹を起こします。飛沫もしくは接触で感染します。

 
潜伏期間: 2~3週間です。発疹出現1~2日前から水泡がかさぶたになるまで感染力があります。帯状疱疹も濃厚な接触があれば感染しますが、感染力は強くありません。

 
症状:  
(1)水痘 発熱は発疹出現と同時に見られますが、麻疹のような高熱の持続は少ないです。発疹は、紅斑の形で始まり、2~3日のうちに水泡、かさぶたと進行します。発疹は同時期に新旧、大小不同に混在し、全身に見られ、頭髪部にもみられるのが特徴です。
(2)帯状疱疹 発疹は神経の走行に沿って、片側の顔面、胸部、腹部、四肢などひとつの神経支配領域に認められます。水疱は水痘よりやや小さく、かたまって見られます。小児に比べ、成人では疼痛を伴うことが多いようです。一般に1~2週間で治癒しますが、抵抗力が弱い状態では重症、遷延化します。

 
合併症: 頻度は高くありませんが、肺炎、肝炎、脳炎などが見られることがあります。

 
治療: 新生児、乳幼児、特殊な病気(白血病、ネフローゼ症候群など)やステロイド製剤や免疫抑制剤の内服している患者さんなどでは、抗ウイルス剤の内服、点滴で治療します。水疱出現3日以内に治療開始すると有効です。また、軟膏(カチリ)の塗布します。引っかくと化膿したり、あとが汚くなることがありますので、かゆみ止めの内服を併用することがあります。入浴も全ての水泡がかさぶたになるまで我慢して、それまではシャワーなどでさっと流すほうが発疹のあとがきれいなことが多いです。発熱に対しては特に小児ではアスピリン製剤は禁止で、アセトアミノフェン製剤(アンヒバ、カロナールなど)が安全です。成人で痛みが強い場合は神経ブロックなどの治療もあります。

 
予防: 水痘ワクチンが有効です。ただし、他のワクチンに比べ有効率がやや低く、10%くらいの方は軽く、もしくは普通に発症することがあります。水痘患者さんと接触した場合は、72時間以内にワクチンを接種するとある程度有効といわれています。

 
登園、登校: 全ての発疹がかさぶたになるまでは禁止です。

 


 
プール熱(咽頭結膜熱)
 
 
 
プール熱は、主に喉、目などに病変を伴ない高熱を出す病気で、正式には咽頭結膜熱というのですが、プールの水を介して伝染することがあるためプール熱といわれます。患者さんの約8割が5歳以下の子供です。

 
 
 
原因: アデノウイルスという主に夏に流行するウイルスです。このウイルスにも2型、3型、7型など何種類かのタイプがあります。6月頃から増加し始め、7~8月が発症のピークですが、温水プールの普及などで1年中患者さんがみられる、つまり、通年性になりつつあります。
プールの水以外に咳、くしゃみなどの飛沫感染、結膜からの感染、便を介しての経口感染、そして接触感染などいろいろな経由で感染します。

 
潜伏期間: 5~7日間くらいです。

 
症状: 39~40度の高熱が4,5日続き、強い喉の痛みを訴えるという咽頭炎の症状と、充血や目やにという結膜炎の症状が見られます。他に頭痛、吐き気、腹痛、下痢などを伴なうこともあります。強い喉の痛みを起こす病気には溶連菌感染症、ヘルパンギーナ、ヘルペスウイルスによる口内炎などもありますが、普通は口の中の所見が異なり、プール熱の場合は綿棒による喉のぬぐい液検査で10分くらいで診断がつきます。

 
合併症: 扁桃炎、肺炎、胃腸炎、膀胱炎、肝炎など様々な臨床症状を起こす可能性があります。

 
治療: 特効薬はなく、症状を抑える対症療法が中心になります。抗生剤はウイルスなので直接的には効かず、中耳炎などの合併症に対してのみ効果をもたらします。ですから、解熱鎮痛剤を上手に使って発熱や咽頭痛を抑えたり、水分を十分にとらせることが大切です。食欲は一般に低下しますのでヨーグルト、プリン、アイスクリーム、果物など喉ごしがいいものを中心に与えてください。年少児でぐったりして水分もとれないような時には外来で点滴したり、入院したりとなります。

 
予防: 風邪と同じようにうがい、手洗いが原則です。便にもウイルスがいるのでおむつ交換後の手洗いも大切です。また、プールでの感染予防のため、水泳前後のシャワー、目を洗うこと、うがい、そしてプールの消毒が重要です。
最後に、プール熱は、数日間高熱が続く病気と始めから考えて、熱がすぐに下がらないからといってあせらずにみるようにしてください。

 
登園、登校: 学校保健法の第2種伝染病に指定されています。プール熱の場合は、“主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とする。ただし、病状により伝染のおそれがないと認められたときはこの限りではない。”とされています。ですから、原則的には、熱が下がって丸2日たてばいいということになります。改善の程度によっては1日でいいということもあります。なお治った後も咽頭からは1週間~2週間、便中には1ヶ月くらいウイルスが排出することがあり、完全に伝染を予防することは困難です。

 


 

 
RS(アールエス)ウイルス
 
 
 
本来は冬に流行しやすい誰でもかかる普通の風邪のウイルスなのですが、生後1歳以下、特に3~6ヶ月くらいの小さいお子さんがかかると気管支や肺に炎症を起こし、高熱や強い咳が出たり、喘息のようにぜいぜいすることがある怖いウイルスです。特に、未熟児で生まれたり、生まれつき心臓に異常があったりする場合は重症化することがあります。繰り返しかかりやすく、年齢が大きくなるとだんだん症状は軽くなります。ただし、小さい頃は何度も繰り返し感染することがあります。

 
 
 
原因: RSウイルスで、感染力が強く、鼻や喉からの飛沫や接触で感染します。鼻の奥の粘膜の分泌液を綿棒でとって検査すると10分くらいで診断ができますが、本当に必要と思われる患者さんのみ検査します。

 
潜伏期間: 3~5日間くらいです。

 
症状: 高熱と強い咳き込み、時にぜいぜいします。一般に年齢が小さいほど症状が強く、新生児では無呼吸を起こすこともあります。

 
治療: 発症した場合はRSウイルスに有効なワクチンや抗生剤などは今のところ無く、咳や発熱などの症状を抑える対症療法が中心となり、他の風邪と同じように、水分や栄養の補給、保温などが中心となります。高熱が持続する場合、咳やぜいぜいが強い場合、水分がとれないような場合には入院することもあります。また、将来的に小児喘息になる子供もいます。

 
予防: ワクチンはまだありませんが、未熟児で生まれたり、先天性の心疾患をもった赤ちゃんの 場合は、RSウイルスに対する免疫物質を注射して予防することもあります。原則としては他の感染症と同じく、患者さんと接触しないこと、マスク、手洗い、うがいなど風邪の予防と同じです。自宅でおとなしく療養させてください。普通は、数日間でだんだんと改善していきます。

 
登園、登校: RSウイルス感染症と診断されて、発熱があり、咳が強い間は保育園や幼稚園などの集団生活はできません。

 


 
溶連菌感染症
 
 
 
“ヨーレンキン“とよくいわれる病気です。幼児から小学校低学年の小児を中心にかかる咽頭炎で、とびひなどの皮膚感染症を起こすこともあります。

 
 
 
原因: 連鎖球菌という細菌に属するA群β溶連菌が原因で、主に喉についた細菌から飛沫感染します。この細菌の毒素により細かい紅い発疹がみられると、猩紅熱という病名になります。今は綿棒による喉のぬぐい液を用いて5分くらいで診断がつきます。

 
潜伏期間: 2~5日間くらいです。

 
症状: 咽頭痛と発熱が主です。他に腹痛、嘔吐などのおなかの症状や頭痛を呈することもあります。典型的な場合は、喉の奥に出血斑を伴って咽頭と扁桃が紅くなり、舌もぷつぷつ紅くなるイチゴ舌が特徴的です。ただし、半数くらいの患者さんは症状が軽く経過し、病院も受診しないため、自分は軽く済んでも他の子供たちに感染することも多くみられます。

 
合併症: 急性腎炎と心臓に合併症を起こすリウマチ熱があります。しかしながら、早期からの診断治療のせいか、細菌自体が弱くなったのか不明ですが、最近はこれらの合併症は激減しています。

 
治療: 薬に対するアレルギーがない場合はペニシリン系の抗生剤を少し長め(10日間)に内服しますが、他の系統の抗生剤の短期内服も有効です。合併症の問題がありますので、医師の指示通りに飲みきってください。

 
予防: 以前溶連菌感染症にかかったことがある場合や、扁桃腺炎を繰り返す兄弟は、小さいお子さんの場合は予防的に同じ抗生剤を短期間内服することがあります。
この病気は一度かかってもまたかかることがあります。喉の痛みを伴う発熱のときは医療機関を受診したほうが安全です。

 
登園、登校: 抗生剤内服開始後1~2日くらいで菌は消失し、元気になるので、3日くらいお休みすれば十分です。

 
経過観察と検査: 急性腎炎やリウマチ熱などの合併症のチェックのため、治ってからも一度病院を受診し、検尿する必要があります。その時期や回数はかかりつけ医の指示に従ってください。

 


 
インフルエンザ
 
 
 
一般的には冬の病気ですが、最近は5月になっても患者さんがみられ、沖縄ではなぜか夏でも報告されています。一般に突然の高熱と全身症状で発症する強いウイルス性疾患です。

 
 
 
原因: インフルエンザウイルスでヒトに感染するのはAソ連型、A香港型そしてB型の3種類で、最近は新型インフルエンザも問題になっています。それぞれ別のウイルスのため、1シーズンに2回も3回もインフルエンザにかかることもありえます。さらに、インフルエンザウイルスは毎年少しずつ姿を変えるため(変異)、一度かかっても一生免疫を獲得できず、毎年かかることもあります。咳で飛んだ分泌物や痰から感染し、閉鎖空間では、患者さんがいなくなってからも感染することがあります。感染時期は発症1日前から発症後3~7日程度です。

 
潜伏期間: 1~3日間くらいです。

 
症状: 突然の高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状で始まります。他に咳、喉の痛みなどの呼吸器症状、腹痛、嘔吐、下痢などの消火器症状などがみられることもあります。発熱は3~5日くらい続くことが多く、一度解熱しかかってから再び高熱になることもあります。一般に1週間くらいで回復します。

 
合併症: 中耳炎、肺炎、筋炎などが多く、小さい子供では熱性けいれんを起こすこともあります。また、熱せん妄といって、うなされて変なことを言ったりすることがあります。これはこのあとに述べる脳炎などとは違い、すぐに改善します。一番の問題は脳炎や脳症の合併です。頻度は非常にまれですが、毎年何十人もこの合併症で亡くなっています。けいれんが持続したり、何回も繰り返したり、意識状態がおかしいと思ったときは至急医療機関を受診してください。脳炎や脳症はインフルエンザを発症してから1~2日以内の早い時期の合併が多く、亡くなったり、後遺症を残すこともある非常に怖い合併症です。

 
診断: 鼻の奥や喉の粘膜を綿棒でぬぐって検査すると15分以内に診断がつきます。ただし、発症して数時間の早い時期では診断がつかないことも多いので、初日に陰性でも翌日の再検査で診断がつくこともあります。

 
治療: 今の治療方法は(1)タミフルという飲み薬、(2)リレンザという吸入薬、(3)漢方薬、(4)何も使わないでがんばるの4つです。(1)と(2)は直接インフルエンザウイルスに作用するので有効なことが多く、だいたい1~2日で元気になります。(3)はよく効く場合が多いのですが、あまり効かない場合もあります。それぞれの治療の問題点もあります。タミフルは味が非常にまずいのと異常行動の副作用がありえること、そのため10歳以降の子供の場合は原則として使用禁止で、10歳未満の場合は症状と家族による看護体制を考慮して検討するとなっています。リレンザは自宅で簡単にできる携帯用の吸入ですが、小さいお子さんにはむずかしい方法です。漢方は1歳前のお子さんにも投与できていいのですが、やはり味がまずいということです。解熱剤はアセトミノフェンという成分のもの(アンヒバ、カロナール、アセトアミノフェンなど)であれば一般に問題ないのですが、大人の方が使うようなものではいろいろ副作用を起こすことがあり、子供では禁止されています。抗生剤は中耳炎や肺炎の合併がある場合に有効です。

 
予防: 基本はワクチンです。他のワクチンと異なり、その有効性は高くありませんが、医療従事者、お年寄り、慢性疾患(特に呼吸器や心臓など)の患者さん、そして子供は接種したほうが安全です。妊婦の方も安定期に入れば安全といわれています。かかりつけの産科の先生に相談してみてください。接種時期はインフルエンザ流行前の10月くらいから接種します。(原則として小学生までは4週間くらいあけて2回接種、以降は1回接種です)効果は4~5ヶ月くらい持続します。従って、5月頃には効き目が弱くなっているのと、翌シーズンはまた接種が必要な点が問題です。他の予防は、手洗い、うがい、マスク着用など風邪と同じ対策が大切です。
最近は、新型インフルエンザが問題となっています。このウイルスによる大流行は間違いなく、近い将来起こりえるといわれています。現在のワクチンは無効ですが、新しいワクチンの開発も進み、治療薬も検討されています。ふだんから、インフルエンザに対する知識を得、予防を考えておくことが大切です。

 
登園、登校:
 
完全に解熱して2日くらいたってからにしてください。